2023.03.3 インフォメーション

油と健康の話

1、 はじめに

人体は水分60%、蛋白質15~20%、脂質13~20%、ミネラル5%、糖質1%で構成されています。

当然ながら、人体の組成は人それぞれに異なり、筋肉量の多い人もいれば、脂肪が多い人もいるので一概に人体組成を語ることはできません。

運動している人は筋肉、すなわち蛋白質が多くなるし、太ってくると脂肪が増えることになります。脂肪組織が増えると体内酸化が加速され、老化が進みます。

人体に平均20%ほど存在する脂質をテーマにします。人体には体を構成する脂と血液中を流れるコレステロール、中性脂肪などの脂があります。

2、 体内の油

血液中の油は、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸があります。

コレステロールや中性脂肪が血液検査でチェックされる代表的な血中脂質です。

これが多くなると動脈硬化などの各種疾患を発症し生命の危機をもたらします。

言うまでもありませんが、血中脂質値が高い場合は医師に相談して下さい。

体内の油の組成は、脂肪酸四分画という検査をすると動物性脂肪のアラキドン酸が多いか、魚油のEPAやDHAが多いかの評価ができます。

食物や体内環境によってEPAやDHAなど魚油が多い人、肉類に多く含まれるアラキドン酸が多い人に分かれます。日本人の平均的なアラキドン酸とEPAの比は、1:0.6とされています。

EPAは1日1g摂取するべきとされています。マグロの刺身だと6切れ、マイワシだと1本半ほどの量です。

毎日摂取されて下さい。

3、 食用油

私たちの体は私たちが食べたものからできています。

動植物を材料にして肝臓や筋肉で蛋白質や脂質が合成されます。

摂取する脂質の種類によって体を構成する油が変わってきます。

食用油はリノール酸が豊富なもの、オレイン酸が豊富なもの、αリノレン酸が豊富なものなど様々な特徴があります。お勧めはαリノレン酸ですが、加熱に弱いのが欠点です。加熱しないで使用して下さい。

EPAやDHAはαリノレン酸から合成されます。

体に必要な油ですが、偏った摂取をすると健康に影響します。

さらに食用油は加熱するので、オリーブオイルなど加熱に耐えうる油を選択する必要があります。それでも調理油の過剰摂取は気をつける必要があります。

加熱可能な油にしても加熱温度が高く185度以上になると、酸化油となって有害物が精製されるようになります。少なくとも煙がでるような温度を避けて下さい。

一度加熱した油を再加熱するとヒドロキシノネナールという加齢臭の成分が合成されるので、加熱した後は廃棄することをお勧めします。

4、 トランス脂肪酸

添加物に含まれる油脂で有害性が指摘されているのがトランス脂肪酸です。

使用禁止となっている国もあります。

トランス脂肪酸は、お菓子やマーガリンなどに含まれ、日本では有害性が認識されながら使用されています。

トランス脂肪酸は、体内に入ると細胞膜に取り込まれ、細胞膜としての機能が阻害されます。細胞膜については、後日記事にします。

マーガリン、ホイップクリームなどの多用は避けるべきです。

5、 脂質過酸化最終産物

体内にできる油の酸化物を脂質過酸化最終産物といいます。これは体を酸化させるので有害です。

ビタミンB6がその合成を抑制するので、B群のサプリメントか、にんにく、牛レバー、ササミ、ごま、焼き海苔、サバ、玄米、牛レバー、落花生、アボカド、大豆、さつまいもなどを摂取して下さい。

亜麻仁油、シソ油、エゴマ油は酸化しやすいので、加熱することなく、開封後は冷蔵庫に保存しましょう。

6、 ヒドロキシノネナール

加齢臭の原因として知られるヒドロキシノネナールは、皮脂から合成される他、油が酸化しても合成されます。体を酸化させるので、調理の際は温度管理をしっかりする必要があります。再加熱も避けて下さい。

加齢臭の要因だけでなく、酸化障害でミトコンドリアや小胞体の機能を低下させ、うつや認知機能の低下にもつながります。

7、 EPA&DHA

魚油のEPA&DHAは細胞膜に取り込まれ、血液をさらさらにする作用があります。炎症を抑える作用もあり、また抗肥満、抗不整脈、抗動脈硬化など血管や心臓を保護する作用があります。

食べ物では、主に魚、特にマグロ、鰯、鯖、サンマなどに含まれます。

EPAやDHAはαリノレン酸がから合成されるので、エゴマ、クルミ、ごま、小麦胚芽、ライ麦、大豆、インゲン豆、枝豆、わかめ、煎茶、抹茶、豆味噌、米味噌、麦味噌、カレー粉を摂取することです。大豆や味噌は含有量が多いので活用できます。

8、 おわりに

体内の油は偏ると病気になり、上手に摂取すると病気予防になります。

やはり食が大切ですね。

沖縄には、アイゴの稚魚の塩付けを小さくカットした木綿豆腐にのせて食べる、スクガラス豆腐という料理がありますが、EPA・DHAやαリノレン酸を上手に摂取する方法の一つです。アンチョビ豆腐でもいいですね。塩分が多いので高血圧ではご注意を。

一度ためして下さい。

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